大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和23年(れ)498号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人中山福蔵、保坂治喜及高橋義次の上告趣意第三點について。

論旨に指摘する通り、原審第一回公判調書には「検事は原判決摘示の事実と同旨の被告事件を陳述し」とあり、その原判決(第一審)には判示第二の犯罪事実を昭和二十二年八月八日のこととして判示してある。又公判請求書にも同様に昭和二十二年八月八日としてある。然し本件記録に徴すれば右は何れも昭和二十一年八月八日の誤記であることが明かである。要は公訴事実が同一であるか否かにかかる。本件に於ては、被告人が、本田勝三と共謀して、自動車運転手西川安市を脅迫して金品を強取したことが公訴事実であって、單に犯行年月日の點につき前記のような不備があっても、公訴事実の特定を害することはないから、手續上の違法なく、論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって刑事訴訟法第四百四十六條に從い、主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例